脱・レッドオーシャン

保険会社に勤めている著者が、保険業界の可能性についての考えを綴ります。

2019年の感想

早いもので2019年もあと数時間となりました。
ということで今年を振り返ろうと思います。

 

○仕事
今年、初めて役所へ商品案件の折衝に行きました。大した案件ではありませんが、民間ではない他のセクターの人間との交渉を行う経験は貴重でした。まあ、交渉というか、一方的にこうしてください、といわれて対応しただけなので自分の身になったかという微妙ですが…。

 

○プライベートで始めたこと
今年4月から、会社の元同期と月1でペア読書を始めました。これは、お互いが興味のある本を交互にチョイスし意見交換を行うことで、思考の幅を広げることを目的として始めたものです。元同期は今年2度目の転職をして戦略コンサルに転職しましたが、ビジネスに関する知見に加え教養も備えているので、ペア読書を通じていい刺激をもらうことができました。特に、ルールメイキングの考え方を知ったことは、自分が学生時代学んでいたことや、今の仕事、そして自分の関心・志向の結節点を見つけることにつながったので、非常に価値のある時間を過ごすことができたと思います。(ルールメイキングについては別記事に書こうと思います。)

 

○その他
秋ごとにいいことがありました。進展したら改めて報告します。

 

2020年はオリンピックが開催され、日本国内が盛り上がる年になります。私自身も公私ともにいい一年にしたいと思っていますので、どうかよろしくお願いします。

瀧本哲史先生の逝去に寄せて

令和初のブログ、というか今年初、30代初のブログです。
ブログの趣旨が訳わからなくなってきたのと、書くきっかけを失ってきたこともあり、しばらくご無沙汰でしたが、今月衝撃的な知らせがあったので、急遽筆を起こすことにしました。

 

表題の通り、瀧本哲史先生が、今月10日に47歳で逝去されました。

 

私の尊敬する人物は2人いて、1人がすでに述べた通りクロスフィールズの小沼さんで、もう1人がこの瀧本先生でした。著名人なのでなかなかお目にかかれない方なのですが、昨年11月、瀧本先生のディベートの講義を受講する予定がありました。「予定がありました」というのは、この講義は選抜された人のみ参加できるものだったのですが、ある人物の失態により私への当選通知が漏れていて参加できなかったのです。それで、来年は優先参加できるということになったのですが、肝心の瀧本先生急逝により参加できなくなった、というわけです。(その人物には、ふざけるな!と改めて言いたいです。)

 

それはともかく、瀧本先生はホンモノの資本主義が浸透していく中でどのように生きるべきかを教えてくださった方であり、私の世界に対する見方を広げてくれたという意味において、私の考え方に大きな影響を与えてくれた方です。私自身は社会学部の卒業であり、学生時代はむしろ資本主義を疑うようなものの見方で学んでいた節もありました。そういう経緯もあって、瀧本先生の世界の本質を突いた考え方はとても新鮮に感じられ、気づいたら先生の著書を何冊も読んでいました。これほど知的好奇心を掻き立てられる本はそうそうなく、瀧本先生は現代の日本人で最も教養がある方だと思いました。

 

瀧本先生にはその著書を通じて多くのことを学びましたが、行動レベルで学びを生かせているかというと、さほど生かせてはいないと思っています。30代は仕事(多分プライベートも)が最も充実する時期だと思います。自らの武器を磨き、開花させられるよう、精進しなければなりませんね。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』を読んで

久しぶりの投稿が大晦日となってしまいました。

 

前回の投稿の最後に、次回はsdgsについて書きますと宣言しましたが、やはりそれはまたの機会に。ということで、タイトルに挙げた山口周さんの著書を読んでの感想を書きます。

 

<要旨>

内容としては、ビジネスで勝つには論理的思考よりも感性が重要視される時代であるために美意識を鍛える必要があるということが述べられています。そして、そのような時代となっている背景として、次の3つが挙げられています。

1.理論的・分析的手法(すなわち、「サイエンス」)を重視したビジネス課題の解決に限界が生じてきている
→「サイエンス」とは再現可能なものであり、その手法を多くの人が身に着けたことに  よって「サイエンス」のコモディティ化が進んでいる。すなわち差別化ができない。一方で、VUCAな現状を解決するにはサイエンスだけでは不十分
2.世界中の市場が自己実現的消費の高まりを見せている
→人の承認欲求や自己実現欲求を叶えるためには、論理よりも感性を磨く必要あり
3.システムの変化に法整備が追い付いていない
→すなわち法整備がなされない分野について判断が迫られるが、正しい判断をするた めには自然法の考え方や美意識が重要となる

 

<感想>

・法務に所属していた私としては、自然法の考え方については納得させられるものがありました。私の仕事の内容は、基本的には既存の法令をもとに事案を裁いていくことが多かったですが、根拠となる法令がなくビジネス的な判断が必要な場面も数多くありました。その時に判断のよりどころとなる価値・判断基準を持つことで的確な判断を下すことができる、ということになるのでしょう。

・経営企画部門で美意識のコンセプトを考え、それを法務やコンプライアンス部門に反映、浸透させていくのはそこまで困難ではないと思う一方、商品開発に落とし込むのはそう簡単ではないと考えています。論理的思考は、ある程度の知的水準を満たせば容易に習得可能であるため、習得できても「コモディティ」となってしまいます。一方、美意識の内容は個社・個人によって異なるため「コモディティ」とはなりませんが、こうすれば確実に醸成可能、という方法はありません。だから、アートの力を高めたコンサルタント(広告代理店?デザイナー?)に活躍の余地が出てくるのかもしれません。

・アートの力が花開いた例としてマツダが紹介されていましたが、無形の商品で顧客の自己実現欲求を高めるというのはかなり難しそうです。

 

というわけで、また来年。

 

 

 

尊敬する人物

2か月ぐらい投稿していませんでしたが、今回は私が尊敬する人物についての記事を書きます。
とはいっても、自分の身内や社内のことを書いても仕方ないので、ある経営者のことを書きます。

それはズバリ、クロスフィールズの代表である小沼大地さんです。

 

〇クロスフィールズ、そして小沼さんを尊敬する理由とは
新聞をはじめメディアに取り上げられることも多いので、この団体を聞いたことがある人も多いかもしれません。URL→http://crossfields.jp/

 

一応、事業内容について勝手に説明しますと、「留職」というプログラムを大企業の若手・中堅社員に対して行っており、プログラムに参加した人はで培ったビジネススキルを活かし、新興国の社会課題の解決に取り組むことになります。そこでは、現地の課題解決を通して、単なるスキルアップだけではなく、リーダーシップを身に着けたり、自社のビジネスに対して誇りを持てるようになったりする、という効果を得ることができるようです。

私がなぜ小沼さんを尊敬しているかというと、誠に僭越ながら自分と共通点があり身近に感じている一方で、類稀なる行動力で周囲を巻き込み、社会課題の解決というビジョンの実現に向けて邁進する姿が、まさしく私自身の理想の人物像と重なるからです。
自分と共通点がある、とはどういうことかと言いますと、小沼さんは私と同じ大学・学部の先輩(とは言っても、講演会で直接質問したことがあるだけで知り合いではありませんが)で、体育会に所属していたこと(小沼さんはラクロス部の主将、私は違う部活の補欠でしたが)、天邪鬼な性格を自覚しながらも、レールに乗った人生を歩んでいることを思い知らされ愕然とした過去を持っていた、というあたりが勝手ながら私と共通すると思っていました。(何度も言っているように私とはレベル違いすぎですが汗)

 

〇私が感じたこと、学んだこと
私が小沼さんの姿勢から学び取ったこととしては、良い意味で周囲に染まらないことの重要性です。
小沼さんと私の出身大学は、前身が商科大学であることもあって、ビジネスリーダーを育成する気風があると一般には言われています。とはいえ、実際には学生で起業するような大胆な学生は少なく、卒業後は良くも悪くも手堅い(と一般には言われている)進路を選択する学生がほとんどです。
小沼さんの仲の良い友人の多くも大企業に入りましたが、その友人たちは、ビジネスで世界を変えると熱く語っていたそうです。しかし、入社後に彼らは悪い意味で会社に染まり、社会人として成し遂げたいことも忘れてしまい、青年海外協力隊から帰ってきた小沼さんはそのことを知って愕然とした、というのは関係者では有名なエピソードです。
私自身も大企業に入りましたので、友人たちの気持ちがわかります。そして私自身も社会人になって情熱をもって仕事に取り組んだことがあるかと言われると、決して多くはなかったと思います。ただ、疑問を感じながらも結局は会社に染まってしまい、行動に移してこなかったことは小沼さんとの決定的な違いだったと思います。
ただ、私もまだ20代。まだ遅くはないと思っています。目指すフィールドや志は小沼さんとは異なりますが、自分の目指す姿に近づけるように、努力していきたいなと思います。

次回は、SDGsについて、記事を書きたいと思います。(時期は未定)

近況

こんばんは。

 

最近は土日もいろいろとやることがあったり、考えなければならないことがあったりでなかなかブログが書けていません。

 

頭ではいろいろと考えていても、文章にするとまとまらなかったり、まとまっても内容が浅くイマイチだったりで結構難しいと感じてます。

 

今は助走期間なので、落ち着いたらまた更新したいと思います。

働き方改革を考える

今回のテーマは働き方改革です。
安倍首相の号令のもと、「働き方改革実行だ!」ということで、深夜残業の禁止やら残業時間圧縮やらが各企業で行われているかと思いますが、業務量が減らないまま削減とか言っているので、働いている方としてはむしろ苦しい状況に追い込まれているのかなあと思います。

 

〇改革の本来の意味とは
ここで、「改革」の意味を確認してみることにします。
かい かく [0] 【改革】
( 名 ) スル

基盤は維持しつつ,社会制度や機構・組織などをあらため変えること。 「役所の機構を-する」

よりよくあらためること。 「お花は家政の-を名として/姉と弟 お室」

https://www.weblio.jp/content/%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B

なるほど。基盤は維持しつつ、ということですね。
通常、残業時間削減というものは労働の内容の基盤を維持したうえで行うものなので、改革の意味には沿っていることになりますね。
しかし、何か釈然としませんね。労働時間削減って聞こえはいいけど、結局労働者がより企業の奴隷になっているような気がします。

 

〇副業という働き方改革は上手く行くか?
そもそも、会社が働き方改革と言っているから改革しなきゃ、という発想がいまいちなのかな、と思います。ちなみに安倍首相の言う「働き方改革」の柱の一つには、副業推進というものもあります。じゃあ、副業も会社からやれと言われたらやるのかというと、そんな簡単なものではないでしょう。

たとえば、保険会社で言えば、経理システムエンジニア(これは子会社の人かな)などの専門性がありかつ汎用性の高い職種であれば、他の業界でも必要とされている人が多いことから、副業できると思います。また、企画系の職種の人も汎用性があると考えられ、これも可能でしょう。しかし、引受査定や保険金支払査定などの保険会社固有の仕事をしている人は、業務の特殊性からしてなかなか難しいのではないかなと思います。(同時に、AIに代替されやすいところでもあります。)
ちなみに、保険業界で副業推進をやるところはないでしょうけど、と思っていましたが、オリックス生命ではつい先日実質的な副業解禁のリリースが出ていましたのでリンクを貼っておきます。

http://www.orixlife.co.jp/about/news/2018/pdf/n180426.pd

 

〇最後は個人レベルでどうしたいかを考える必要がある

では、自分の今やっている仕事が汎用性がない場合はどうしようもない、ということになってしまうかというと、決してそうではないと思います。自分は何に関心を持っているか、どういう生き方をしたいか、ということを考えて行動することがまずは重要なのかなと思います。その過程で新たなコミュニティとの接点が生まれることもあるでしょう。(私も昨年会社とは関係のないところで無報酬で活動していましたが、それはまた追って話をします。)


もっとも、副業解禁となったところで、「土日は休みたいよ」「副業なんて考えている暇はないよ」と言う人はたくさんいるのかなと思います。その考えはもちろん否定しません。しかし、一つの組織に尽くし(あるいは縛られて)一生を終えるという生き方はせいぜいここ40~50年ぐらいのものです。今勤めている組織に依存するという生き方は、その組織が崩れてしまったとき、あるいは組織から離れることになったときに結構危うくなってしまう生き方だと思っています。

 

働き方改革に関しては、また後日記事をアップしようかと考えています。今回はこの辺で。

ファーウェイによる保険ビジネスとブロックチェーンの応用

時間がしばらく空いてしまいましたが、ようやく本格的な投稿スタートです。
ブログを始めたからにはもう少しいろいろな人に存在を知ってもらいたいと思っていますので、広告活動というか、そういうところも勉強しないといけないでしょう。

いろいろとテーマを考えていて、最初はAIで行こうと思ったのですがうまくまとまらない中、NewsPicksを見て、「これだ!」と思った記事があったので、1本目はその記事に関連したものにしようと思います。

 

〇ファーウェイが保険サービスの開発に着手
https://forbesjapan.com/articles/detail/20410
中国のファーウェイという通信機器メーカーについては正直あまり知らなかったのですが、つい先日、ブロックチェーンを基盤にした保険サービスの開発に着手すると発表しました。
具体的な内容については特段言及されておらず、これから具体的に考えるというところでしょう。

 

ブロックチェーンは保険ではこう使える
私はシステム系の部署に所属したことはありませんが、去年ぐらいから雑誌等で少しずつ勉強しており、ブロックチェーンに対する関心はある方だと思っています。ブロックチェーンと言えば、仮想通貨や銀行をはじめとした金融取引などに活用されるといわれていますが、保険会社にとっても例外ではありません。

銀行にとって顧客の資産状況に関する情報が重要なように、保険会社にとって顧客の医療データを収集することは不可欠です。契約者が保険に加入する際には健康状態についての告知が行われ、既往症がないかどうかのチェックをしたうえで保険会社が契約の引き受けを判断します。そして保険金支払の段階においては、医療機関が提出する診断書をもとに支払いの可否を決定します。

こうしたプロセスは場合によってはかなり時間がかかるものであり、契約の早期成立や保険金の迅速な支払いが求められる保険会社にとっては、手続き期間の短縮が課題になってきますが、もしブロックチェーンを利用して医療機関と保険会社が医療データについて連携を行い、互いに情報管理を行うシステムが構築できれば、スムーズな契約成立や保険金の支払いが可能となります。また、保険においては告知義務違反が問題となることがあります(発覚するのは支払の段階)が、ブロックチェーンを利用して既往歴などのデータをリアルタイムに把握することができれば、虚偽の告知が瞬時にわかり、契約加入の段階で保険適格体でない被保険者を予め弾くことができることもメリットとなると思います。

なお、ブロックチェーンを利用した保険金支払い業務の簡略化はすでに東京海上日動で実証実験が行われており、生命保険会社においても検討がなされていくでしょう。

 


〇今後の課題
当面の課題としては、医療データは高い秘匿性を持つべきものとされており(金融業界ではセンシティブ情報と呼んでいます)、管理に当たっては特殊な暗号化処理をする等の対応が必要になってくると思われます。医療データは秘匿性の高い個人情報ですので、ブロックチェーンに対するリテラシーを持たない一般消費者からすれば、これをブロックチェーンに載せられることが心情的に受け入れにくい可能性もあるため、そのような顧客の情報については従来通りの方法で入手することになるかもしれません。そうなると、かえって事務的なコストが大きくなると言えるでしょう。
(そもそも、医療データが個人情報保護法上どのような位置づけで医療機関から保険会社に提供されるのか、という点については個人的に気になります。私見ではおそらく第三者提供なのではないかと思われますが、医療機関で提供先について本人の同意を取っているのか、提供を受ける保険会社が第三者提供の記録をしているのか、等気になっています。)