脱・レッドオーシャン

保険会社に勤めている著者が、保険業界の可能性についての考えを綴ります。

ファーウェイによる保険ビジネスとブロックチェーンの応用

時間がしばらく空いてしまいましたが、ようやく本格的な投稿スタートです。
ブログを始めたからにはもう少しいろいろな人に存在を知ってもらいたいと思っていますので、広告活動というか、そういうところも勉強しないといけないでしょう。

いろいろとテーマを考えていて、最初はAIで行こうと思ったのですがうまくまとまらない中、NewsPicksを見て、「これだ!」と思った記事があったので、1本目はその記事に関連したものにしようと思います。

 

〇ファーウェイが保険サービスの開発に着手
https://forbesjapan.com/articles/detail/20410
中国のファーウェイという通信機器メーカーについては正直あまり知らなかったのですが、つい先日、ブロックチェーンを基盤にした保険サービスの開発に着手すると発表しました。
具体的な内容については特段言及されておらず、これから具体的に考えるというところでしょう。

 

ブロックチェーンは保険ではこう使える
私はシステム系の部署に所属したことはありませんが、去年ぐらいから雑誌等で少しずつ勉強しており、ブロックチェーンに対する関心はある方だと思っています。ブロックチェーンと言えば、仮想通貨や銀行をはじめとした金融取引などに活用されるといわれていますが、保険会社にとっても例外ではありません。

銀行にとって顧客の資産状況に関する情報が重要なように、保険会社にとって顧客の医療データを収集することは不可欠です。契約者が保険に加入する際には健康状態についての告知が行われ、既往症がないかどうかのチェックをしたうえで保険会社が契約の引き受けを判断します。そして保険金支払の段階においては、医療機関が提出する診断書をもとに支払いの可否を決定します。

こうしたプロセスは場合によってはかなり時間がかかるものであり、契約の早期成立や保険金の迅速な支払いが求められる保険会社にとっては、手続き期間の短縮が課題になってきますが、もしブロックチェーンを利用して医療機関と保険会社が医療データについて連携を行い、互いに情報管理を行うシステムが構築できれば、スムーズな契約成立や保険金の支払いが可能となります。また、保険においては告知義務違反が問題となることがあります(発覚するのは支払の段階)が、ブロックチェーンを利用して既往歴などのデータをリアルタイムに把握することができれば、虚偽の告知が瞬時にわかり、契約加入の段階で保険適格体でない被保険者を予め弾くことができることもメリットとなると思います。

なお、ブロックチェーンを利用した保険金支払い業務の簡略化はすでに東京海上日動で実証実験が行われており、生命保険会社においても検討がなされていくでしょう。

 


〇今後の課題
当面の課題としては、医療データは高い秘匿性を持つべきものとされており(金融業界ではセンシティブ情報と呼んでいます)、管理に当たっては特殊な暗号化処理をする等の対応が必要になってくると思われます。医療データは秘匿性の高い個人情報ですので、ブロックチェーンに対するリテラシーを持たない一般消費者からすれば、これをブロックチェーンに載せられることが心情的に受け入れにくい可能性もあるため、そのような顧客の情報については従来通りの方法で入手することになるかもしれません。そうなると、かえって事務的なコストが大きくなると言えるでしょう。
(そもそも、医療データが個人情報保護法上どのような位置づけで医療機関から保険会社に提供されるのか、という点については個人的に気になります。私見ではおそらく第三者提供なのではないかと思われますが、医療機関で提供先について本人の同意を取っているのか、提供を受ける保険会社が第三者提供の記録をしているのか、等気になっています。)